大判例

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福岡高等裁判所 昭和25年(ナ)2号 判決

原告 池田勘治

被告 長崎県選挙管理委員会

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告代理人は「被告が昭和二十五年九月二十一日長崎県南高来郡布津村村長解職に関し為した裁決は、これを取消す。右村長の解職賛否投票は、これを無効とする。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として、「昭和二十五年六月十日行われた長崎県南高来郡布津村村長の解職賛否投票の結果、当時同村長であつた原告の解職が成立した。しかし右賛否投票はつぎの理由によつて無効である。すなわち、解職請求者署名簿に連署した選挙権者の数は千九百四十四名であつて、その限りにおいては、当時の右布津村の選挙権者の総数三千七百五十名に対し三分の一以上の法定数に達してはいるが、右連署中には、同村貝崎部落外二部落における当時出漁中で不在者であつた相当数の漁夫の署名捺印があり、又本件解職請求の代表者である訴外山崎昇及びその同調者等において、選挙権者に無断でその氏名を記載し、その捺印を強要して作為した記名捺印があつて、これらの無効連署を差引けば、有効連署者の数は、解職請求者の右法定数を割るに至るからである。よつて原告はこれを理由として、同年六月二十一日右村選挙管理委員会に異議を申立て、七月六日の右委員会の申立却下決定に対し同月二十六日被告に訴願し、九月二十一日訴願棄却の裁決があり、同月二十四日同裁決書の送達を受けたので、本件出訴に及んだ次第である。」と述べた。

被告代表者は主文と同旨の判決を求め、答弁として「本件解職賛否投票が無効であるとするその理由についての原告の主張事実、すなわち署名簿の署名の効力に関する点は、すべてこれを否認するが、その余はこれを認める」と述べた。

三、理  由

本件解職賛否投票が無効であるとするその理由についての原告の主張事実、すなわち解職請求者署名簿の署名の効力に関する事項につきその立証がないので(もつとも原告代理人において署名簿の取寄及び鑑定の申出をしたのであつたが、その手続をしなかつたので、右証拠調はこれをしないことにした)右署名簿の署名中無効の署名があり、これを差引くときは、解職請求者の数が法定数を割るとの原告の主張事実は、これを否定せざるを得ない。

よつて右法定数を欠くことを前提とする原告の本訴請求は失当であるから、これを棄却し、民事訴訟法第八十九条を適用して主文のように判決する。

(裁判官 小野謙次郎 桑原国朝 中園原一)

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